この記事では、未経験からエンジニアを目指して日々勉強されている方向けに、企業の業態による違いを紹介します。
エンジニアの各職種の概要についてはこちらの記事に書いてますので、合わせてご覧ください。
この記事で紹介するのは私の経験に基づいた主観によるものなので、一部一般的な理解とは異なる部分がある可能性があることをご了承ください。
まずはエンジニアとして働く場合の企業の種類について紹介します。
エンジニアとして働く企業の種類
エンジニアとして働く場合の企業の種類については大きく以下の4つがあります。
- SES系企業
- 受託開発系企業
- 自社開発系企業
- 一般企業のシステム部門(社内SE)
これらの企業について、企業としての特徴やその企業で働く場合のメリット、デメリットを紹介します。
また、どのような人がその企業に向いているかも紹介します。
SES系企業について
SES(システムエンジニアリングサービス)系企業とは、ソフトウェアやシステムの開発などの特定の業務に対して、技術者の労働を提供するサービスを提供する企業のことです。
基本的には、顧客のオフィスに常駐してソフトウェアやシステムの開発を行うのが主な仕事になります。
よく転職サイトの求人で、勤務地が「東京都内または関東近郊のプロジェクト先」となっている企業は、SES系の企業とみて問題ありません。
ブラック企業が多いとか、未経験なのに経歴を詐称されて現場に送り込まれたなど、あまり評判がよくないSES系の企業ですが、少ないですがメリットも一部あると思います。
以下ではSES企業で働くメリットとデメリットを紹介します。
SES系企業で働くメリット
SES系企業で働くメリットは以下の点になります。
- 未経験でも比較的採用されやすい
- 案件によっては未経験の技術でも身につけることができ、スキルアップが目指せる
上記にあげたようにSES企業では比較的未経験でも採用されやすく、また経験者であっても未経験の技術領域の案件にアサインされれば、その領域の技術を身につけスキルアップを計ることができるのがメリットになります。
SES系企業で働くデメリット
一方で、SES系企業で働くデメリットは、以下の点になります。
- プロジェクトによって、レベルの低い作業しかさせてもらえないことがある。
(例えば、テスト結果の画面のキャプチャをひたすらエクセルに貼り付ける作業など) - 勤務地が都内のどこになるか分からないので、プロジェクト先によっては通勤時間が長くなる可能性がある。
- 常駐先(プロジェクト先)の企業で働くため、会社への帰属意識が稀薄になる。
- 会社によっては残業が必須であったり、有休が取れなかったりする。
まとめると、配属先のプロジェクト先によってスキルが身につかず、残業が多く有休も取れず消耗してスキルアップができないというリスクがあります。(案件ガチャ)
なぜSES企業はブラック化しやすいか
SES系企業で働くデメリットでもあげた通り、SES企業で働くと残業が多くなったり、有休が取りづらい(または取れない)というように労働条件がブラック化することが良く言われます。
その原因としては、SES企業が顧客企業に技術者を派遣する際の契約に原因があります。
良くある契約としては、以下のような契約を結んでいる場合があります。
- 月の稼働時間が160時間から180時間の間では一定金額で清算する。
- 160時間を下回る、または180時間を超える分については時間割で清算する。
上記のような契約の場合、有休休暇を取られるとSES企業の受け取る金額が減ってしまうので、有休を取らせたくないというようになります。
また、180時間までは同じ金額なので、顧客企業があまり紳士的でない場合は、180時間目一杯まで働かせようとします。
SES企業を転職で受ける場合は、顧客企業とどのような契約をしているかを面接などで確認しましょう。
稼働時間の清算幅を140時間から180時間で契約をしているSES企業などであれば、比較的有休は取りやすくなったりします。
受託開発系企業について
受託開発系企業の場合は、前述のSES企業とは異なり、顧客から依頼されたシステム開発を自社内で行い、開発したシステムをお客さんに納品するというビジネスになります。
基本的には客先への常駐などはなく、自社内での開発になります。
指定された期日までにシステムを開発して、お客さんに納品すれば良いため、フレックスタイムやリモートワークなどSES企業に比べて柔軟な働き方ができる会社もあります。
受託開発系企業で働くメリット
受託開発系企業で働くメリットは以下の点になります。
- 受託開発の蓄積があるため、社内の開発ノウハウなどを習得することができる。
- システム開発の一連の流れ(設計→開発→テスト→納入)の全てに関わることができる可能性が高い。
- 自社内での開発になるため、基本的には勤務地が変わることはない
受託開発系企業で働くデメリット
一方で、受託開発系企業で働くデメリットは、以下の点になります。
- 顧客への納期があるので、納期前は残業などが多くなることが多い
- 会社として同じような開発案件を受託するのが合理的なので、エンジニアとして、業務の中で新規技術を習得したり技術の幅を広げることが難しくなる。
まとめると、納期前は忙しくなることが多いのと、同じような技術領域の中で仕事を続けることでスキルが伸び悩むリスクがあります。
自社発系企業について
自社開発系企業の場合は、自社でWEBサービスやスマートフォンアプリなどを開発し、そのサービスやアプリからの収益(広告やユーザー課金)でビジネスを行なっている企業です。
基本的には自社でサービスを開発しているので、自社内の勤務になります。
また、顧客もサービスの利用者になるので、カスタマーサポートなどの専門の部署があり、利用者とのやりとりは専門の部署が行うことが多いです。
自由な社風の会社が多く、私服勤務やフレックスタイム、リモートワーク可能など柔軟な働き方ができる会社も多いです。
自社開発系企業で働くメリット
自社開発系企業で働くメリットは以下の点になります。
- 私服勤務やフレックスタイム、リモートワーク可能など柔軟な働き方が可能なことが多い
- 開発して終わりではなく、サービスの改善やユーザーの要望に基づいた追加機能の開発といったフローに携わることができる。
- Githubやクラウドインフラなどのモダンな技術を採用していることが多く、そういったスキルを身につけていくことができる。(知的好奇心を満たすことができることが多い)
自社開発系企業で働くデメリット
一般的には、フレックスタイムやリモートワークなどの柔軟な働き方ができるといった、自社開発企業で働くメリットが強調されることが多いですが、デメリットも一部あると考えています。
具体的には以下の点になります。
- 求めらる技術レベルが高く、業務未経験で採用されることが少ない。(また、技術レベルが足りない状態で入った場合、周りの技術レベルについて行けず、会社の雰囲気や直属の上司などによっては非常に辛い思いをすることがある)
- 社員の平均年齢が若いことが多いが、少人数でサービスの開発をやっていることが多く、マネージャーなどのポストが開かず昇進などのキャリアが不透明
- ベンチャー企業などで、1つのサービスを運営していてそのサービスの収益に依存している場合、サービスの雲行きが怪しくなった時に経営状態が一気に悪くなるリスクがある。
まとめると、自由な働き方やモダンな技術の習得などの魅力はありますが、ベンチャー企業など少人数で運営している会社が多いためそれなりの技術レベルを求めらること、昇進のポストが思った以上に少ないということは認識いただければと思います。
一般企業のシステム部門(社内SE)について
最後に紹介するのは、一般企業のシステム部門で働くという場合です。一般的には社内SEと呼ばれる職種です。
その企業の事業を行うのに必要なシステムの整備や各社員が利用するPCの設定や社内のイントラネットワークの整備などが主な仕事になります。
システムの開発を行うというよりは、自社の事業や業務について深く理解し、業務に必要なシステムを定義し、必要なシステムを外部から調達するというのが主な業務になります。
一般企業のシステム部門(社内SE)で働くメリット
一般企業のシステム部門(社内SE)で働くメリットは以下の点になります。
- システムを利用する側の立場に立って、事業や業務を理解してシステムの開発を依頼するという上流の部分に携わることができる
- 業界知識や業務知識などのシステムのニーズに関わる部分の知識を得ることができる。
一般企業のシステム部門(社内SE)で働くデメリット
一方で、一般企業のシステム部門(社内SE)で働くデメリットは以下の点になります。
- システム開発に当たっての社内調整が難航すると、社内とシステムベンダーの板挟みになって辛い。
- 経営陣にITについての理解が薄いと適切な投資や予算を確保されず、成果が出しづらい。
- システム開発はベンダーに丸投げで、社内のPCの管理などの雑用に終始する場合がある。
まとめ
この記事では、企業の業態による仕事の内容や雰囲気の違い、それぞれの業態の企業で働く場合のメリット・デメリットを紹介しました。
この記事がエンジニアを目指されている方のキャリアの選択の参考になると嬉しいです。